独自のレッドハニー
生産処理においても、毎年実験的に100KG程度のナノロットを作成する事で品質の向上に向けた検証を繰り返しています。アルバルのレッドハニープロセスは長年の試行錯誤の結果、独自性の高い工程が踏まれています。アルバルでは糖度がピークに達した完全完熟のチェリーの収穫を徹底していますが、こうしたチェリーはミューシレージが分厚く、乾燥時の湿度や気温によっては乾燥が進まず、ミューシレージの化学反応において意図しない風味の変化をもたらします。特に近年の気候変動は収穫期に与える影響も大きく、これをコントロールするために用いたのが、レポサドと呼ぶ収穫後に24~30時間ほどチェリーをレスティングする手法と、発酵槽を用いたフリーウォッシュドプロセスの応用でした。まずチェリーを寝かすことでパーチメント内部にミューシレージの成分を浸透させると言います。そして果肉除去を行い、発酵槽でおよそ半日の発酵工程を経て水洗します。元々ミューシレージが分厚いアルバルのウェットパーチメントは、短時間のウォッシュドプロセスを踏むことでミューシレージが約50%程度の状態となると言います。この組み合わせによって、乾燥工程のリスクを軽減しながら、レッドハニーとしての特性を維持しています。また結果的にカップの透明感が増し、気候による風味変化の軽減も解決しています。
そして約18日掛けて乾燥。水分値10.5%を目途に仕上げられ、倉庫で40日のレスティングを経て、アルバルの特徴を最大限に発揮したコーヒーが完成します。
こうした独自のアイデアは、SUMAVAマイクロミルでも働く長男のエステバンが家族の農園に役立てたいと真摯に勉強しノウハウを身に着けた成果でもあります。家族の幸せとアルバルのコーヒーを楽しんでくれるバイヤーや消費者の声が高いモチベーションと語り、そのパートナーとの絆を何より大切にしてくれているアリエッタ・ファミリー。いつも心地よく迎えてくれる掛け替えのない生産者の1人です。