スペシャルティコーヒー入門
ー生豆(なままめ)ってなに?ー
焙煎する前の素材であるコーヒーの生豆。
この生豆次第で一杯のコーヒーの美味しさのほぼ半分が決まるといってもいいくらい大事なもので、今回はその生豆ってなんだろう?ということを一緒に考えていければと思います。
コーヒー豆は種!
コーヒー豆は、豆と呼ばれていますが、実はコーヒーの実の種なのです!
コーヒーノキから採取されるコーヒーチェリーと呼ばれる果物の種を取り出し、それを乾燥させたものがコーヒー豆(生豆)になります。
生豆の呼び方は「なままめ」
豆は一般的に「なままめ」と呼ばれています。
これは、例として、醤油は火を入れてその後何も加えない純粋なお醤油のことを生醤油(きじょうゆ)、火入れをせずに濾過してボトリングするものを生醤油(なましょうゆ)と呼ぶとのこです。
コーヒーの生豆はまだ火を入れる前の状態なので、「なままめ」と呼ぶのがしっくりくるみたいですね。
海外では、「グリーン」「グリーンコーヒー」「グリーンビーンズ」などと一般的に呼ばれています。
これは、その名の通り生豆が緑色をしていることからそう呼ばれているのですね!
一本のコーヒーからどれぐらい収穫できるの?
品種や栽培地によってさはありますが、コーヒーの木一本からおよそ3kgのコーヒーチェリーを収穫することができます。
そこから選別、精製、乾燥させ、生豆になると約500g。
そして焙煎すると水分が抜けて、収穫されたコーヒーチェリーは最終的に約400gの焙煎された豆となり、やっと僕たちが飲んでいる一杯のコーヒーになります。
一杯12g使うとすると、一本の木からはとれるコーヒーの杯数は40杯にも満たないのですね。
コーヒーの木を育てるところから、多くの人の努力や思いがあって、やっと一杯のコーヒーになる。
僕たちバリスタも、その背景やストーリーを理解して、お客様に美味しいコーヒーを届けていきたいですね。
コーヒーチェリーが生豆になるまで
1.まず、大前提として、美味しいコーヒーを栽培できる産地について考えていきましょう。
美味しいコーヒーができるには、
・高い標高(高いところでは2000以上の産地も!)
・適度な日射量
・コーヒーの木によい気温の土地(20~25度くらい)
・雨季がある(年間1500~2000mmの雨量)
が必要で、これらの条件がそろっている地帯のことを「コーヒーベルト」とよびます。
さらに、美味しいコーヒーに仕上げるには完熟したコーヒーチェリーだけを選んで収穫していくことがとても大事です。
2.コーヒーチェリーの構造
コーヒーチェリーは、外側から
・コーヒーチェリーの果肉
・ミューシレージ(タネを包むネバネバした粘膜質)
・パーチメント(果肉の中にある内果皮)
・シルバースキン(タネを包んでいる薄皮)
・種(生豆となる部分。基本、ひとつの実に二つの種が向かい合って入っている)
となっています。
たまに、ひとつの実に種が一つだけの「ピーベリー」と呼ばれるものもあります。
味わい的には、変わらないという人もいれば、ひとつの種に成分が凝縮されているのでより美味しいという人もいると思います。
収穫量がとても少なく、その希少性から高値で取引されていることが多いです。
3.生産処理
収穫したチェリーから種、コーヒー豆を取り出すために生産処理をしていきます。
生産処理によってコーヒーの味わいが変わり、品質も左右されるため、生産地ではさまざまな工夫がなされ、近年、コーヒー業界でとても注目されているプロセスです。
代表的なものが「ナチュラル」と「ウォッシュド」の2種類です。
「ナチュラル」はコーヒーチェリーをそのまま乾燥させた後に、果肉やパーチメントを脱穀して種を取り出します。
乾燥する過程で発酵するため、甘味が強くなりコクのある味わいで、香りも濃厚になる印象です。
「ウォッシュド」は果肉を除去したあとに水につけてミューシレージを分解させて、乾燥させてからパーチメントを脱穀して、種を取り出します。
すっきりとしていて、クリーンで酸味の引き立つ味わいが特徴です。
この他にもナチュラルとウォッシュドの中間の「ハニープロセス」や、インドネシア独自の方法「スマトラ式」、ワインの醸造からヒントを得た「アナエロビックファーメンテーション(嫌気性発酵)」や「カーボニックマセレーション(炭酸ガス浸漬法)」などがあります。
生産処理が行われた後に、欠点豆や異物を取り除く「選別」が行われ、味わいや品質をチェックする「カッピング」を経て、出荷、輸送されていきます。
いかがでしたでしょうか。
今回は入門編としてご紹介させていただきましたが、生豆が僕たちのもとに届くまでには多くの方の努力が重なっています。
今度はそのことをもっと深くお伝えしていきますのでよろしくお願いしますね。
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