BARISTA MAPが焙煎、販売させていただいている、
名前の通り赤ワインのような芳醇さと、ベリーやチョコレートなどの甘さが魅力的なこのコーヒー。
今回は品質面はもちろんのこと、ラミレス農園の活動・栽培方法・精製方法などをぜひ皆さんに知っていただけたらと思います。
・カリブ海に浮かぶ島国、ドミニカ共和国
日本から約1万3000キロ離れた、中南米のカリブ海に浮かぶ島、イスパニョーラ島。その東側3分の2を占めるドミニカ共和国は、美しい海と豊かな自然を有し、コーヒーの他にも良質なカカオが作られていることでも有名です。
観光地としても有名なドミニカ共和国ですが、毎年来るハリケーンにより大きな被害を受けており、隣のハイチにおいてもその被害は大きいと報告されています。
それでも、ハリケーンの被害に負けずに、さらに良質でオーガニックのカカオを育てるための基盤を整備していくなど、素晴らしい取り組みをしている国でもあります。
・ドミニカ共和国のコーヒーの歴史
ドミニカ共和国のコーヒーの歴史は古く、1700年はじめにアラビカ種(ティピカ)の苗が持ち込まれ、移植されたのが栽培の始まりとされています。
1844年のハイチからの独立後、本格的にコーヒーの栽培がはじまり、いまではドミニカ共和国の砂糖に次ぐ2番目に重要な農産物となっています。
当初はティピカ種がメインだったようですが、現在ではカツーラ種が生産量のほとんどを占めているようですね。 他の品種としては、パーカス、パカマラ 、ビジャサルチ 、ムンドノーボ、ブルボンがあります。
ドミニカ共和国は、コーヒーの栽培に適して雨季乾季がしっかりと分かれており、収穫期は1月から4月頃まで続きます。
コーヒー農園のほとんどが3ヘクタール未満の小規模農園・小農家によるもので、大農園の割合は全体の2%程度だそうです。
・ラミレス農園のコーヒー
今回取り扱わせていただいているコーヒーは、カツーラ種のワイニーナチュラルという精製方法を取り入れたコーヒーです。
そのコーヒーを栽培しているラミレス農園。
ドミニカ共和国の中部に位置するハラバコア地方の、標高800~1500メートルの場所にその農園はあります。
ラミレス農園はドミニカ共和国の中でも有名な大規模農園で、その歴史は1943年までさかのぼります。
ビラルミニオ・ラミレス氏が始めたこの農園は、現在、三代目のジュリオ氏、ラミレス氏が農園主として、運営をしています。
通常、ラミレス農園はウォッシュドの酸味に特徴のあるクリーンなコーヒーを作ってらっしゃいますが、インポータ―の方によると、今回はラミレス氏に、ナチュラル特有の香りや味わいがとても強いものをつくってみて欲しいとお願いしたとのことでした。
近年、コーヒーの精選方法はかなり細分化されていて、一言でナチュラル製法といっても、方法は様々です。
そのナチュラル製法において重要なのは、熟度と乾燥です。
完熟手前まで待ち、十分に糖度を高めたコーヒーチェリーに様々な乾燥方法を用いることによって、その香味を変化させることができます。
そして、乾燥工程は乾燥させる割合によって大きく3段階に分けることができ、それぞれの段階にどれだけの時間をかけるかによって香味がかなり変わっていきます。
乾燥第1段階では発酵がコーヒーチェリー内部で起こっており、その発酵によってまるでワインのような芳醇なナチュラル香が生み出されます。
その第1段階に時間を長くかけることによって、ナチュラル特有の香りや味わいが強くなり今回のラミレス農園のようなワイニーナチュラルのコーヒーになります。
しかし、ただ単に乾燥期間を長くしても美味しいコーヒーにはなりません。
コーヒーチェリーをそのまま乾燥させるので、水分値が高く、腐敗のリスクがあります。
なので、適度に攪拌し均一に乾燥させ、時には直射日光を防ぎながら品質を維持・乾燥させていくため、かなりの技術が必要となります。
ラミレス農園の方々は、コーヒーチェリーを腐敗させず、ワインのような風味を作り出すために、高い技術力と手間を惜しまずコーヒーと真摯に向き合うことによって、このワイニーナチュラルのコーヒーを生み出すことができたのですね。
そして乾燥が終了したコーヒーをそのまま飲んでも美味しいのですが、次に重要な工程が味を整える工程です。
今回のワイニーナチュラル はその第1段階での発酵により、強烈なナチュラルの風味を有しているため、少しだけウォッシュドのコーヒーを混ぜることによりその風味を和らげ、まさにワインのような豊かな香味へと変化させているのです。
焙煎されたコーヒーでも、2種類以上ブレンドすることによってそれぞれの美味しさを掛け合わせて理想の味をつくっていたりしますよね。
農園レベルでも同じようなことが行われてるときもあり、そのブレンドの度合いによって、今回のコーヒーのように、素晴らしい風味を出すこともできるのですね。
そして、ラミレス農園は栽培から輸出まで全て自分たちで行っており、高いトレーサビリティ(生産から消費までの流通の透明性)を実現させています。
・地域への愛
小さいファミリービジネスで始まった農園でしたが、現在は、350haの栽培面積を誇る農園で、コーヒーの他にハヤトウリ、パッションフルーツの栽培、養蜂なども行なっています。
栽培方法のみならず、品質維持のための品質管理・衛生管理等も深い理解とともに実践しています。
ビラルミニオ・ラミレス・グループ社として、5,500名以上の就労機会を提供しており、地域住民のための学校建設、その生徒たちへの環境教育、自然保護活動、健康福祉啓蒙活動を積極的に先頭に立って行っています。
ビジネス面だけでなく、 大農園としての使命をしっかりと理解し、その農園周辺の住民たちも巻き込んで、環境保全活動をしている魅力的な農園です。
歴史あるラミレス農園が作り出したワイニーナチュラル。
今回が初めての取り組みとのことですが、香りや味の豊かさは素晴らしいものがあり、ラミレス農園のコーヒーに対する情熱や真摯さを感じることができました。
僕たちが感じたことを、このコーヒーを通して共有することができたらと思います。